貸家が火災で焼失した場合の火災損失について
私は、給与の他に、2軒の貸家からの不動産所得があります。
昨年12月にそのうちの1軒が火災で焼失しました。
その後、保険金と自己資金で貸家を新築しました。
この火災の損失はどのように取り扱われるのでしょうか?
・建物の被災直前の帳簿価額 300万円
・建物の被災直前の時価 500万円
・建物の被災直後の簿価 0 円
・災害等関連費用(廃材の除去費用など) 10万円
・受け取った火災保険金 400万円
アドバイス
不動産貸付が、非事業的規模ですので、
貸付物件の焼失による損失は、
雑損控除の対象になります。
なお、災害等関連費用は、
あなたが選択すれば、
不動産所得の必要経費にもできます。
非事業的規模の資産が災害にあった場合は?
次の場合、一定の限度額を超えるときは、
その超える分のは雑損控除として、
その人の総所得金額等から控除されることになっています。
●居住者またはその人と生計を一にする一定の親族の所有する資産について、災害・盗難・横領により損害を受けた場合
●災害に関連して、やむを得ない支出をした場合
雑損控除の対象にならない資産はありますか?
次のものです。
●生活に通常必要でない資産
●棚卸資産
●不動産所得、事業所得、山林所得が得られる事業用の固定資産その他これに準ずる資産
●災害、横領、盗難により山林について生じた損失
よって、不動産所得が得られる「事業」とはいえない
「業務」用の貸付不動産に災害が生じた場合には、
その損失額は雑損控除の対象になります。
しかし、損失額のすべてを
不動産所得の計算所必要経費にしているときは、
これが認められます。
では、雑損控除の対象にした場合はどうなりますか?
雑損控除の対象になる損失額は、
時価ベースで計算しますので、次のようになります。
雑損控除の基礎になる金額=(被災直前の時価−被災直後の時価)+災害等関連費用−保険金等
110万円=(500万円−0円)+10万円−400万円
不動産所得の必要経費にする方法を選択した場合は?
必要経費に算入される損失額は、
原価ベース(簿価)で計算しますので、次のようになります。
資産損失額=(被災直前の帳簿価額−被災直後の時価)−保険金額等
0円(△100万円)=(300万円−0円)−400万円
この場合、資産損失額はないことになるので、
必要経費に算入するのは、
災害関連費用の10万円だけになります。
保険差益の100万円は、
損害保険契約による保険金で、
資産の損害をもとに支払いを受けるものですので、
非課税になります。
事業的規模かどうかの判定はどのようにするのですか?
建物の貸付けが事業的規模かどうかの判定は、
社会通念上、
事業と呼べる規模で行なわれているかどうかで判断すべきですが、
次のどちらかにあてはまる場合には、
事業として行なわれているものとされます。
●貸間、アパートなどは、貸すことができる独立した部屋数がおおむね10以上である。
●独立家屋の貸付は、おおむね5棟以上である。
※賃貸料収入・貸付資産の管理の状況などからみて上記に準ずる事情がある場合には、特に反証がなければ事業として行なわれているものとされています。
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